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最高裁判所第三小法廷 昭和42年(オ)1398号 判決 1969年7月15日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人峰島徳太郎の上告理由一について。

原判決の所論の点に関する事実認定は、これに対応する挙示の証拠によつて肯認することができる。論旨は、原審の専権に属する証拠の取捨判断および事実の認定を非難するものであつて、原判決には所論の違法はないから、採用できない。

同二について。

民法一四五条は、時効の援用権者は当事者である旨を規定している。しかるに、本件についてみるに、上告人らの主張によれば、上告人らは、本件係争土地の所有権を時効取得すべき者またはその承継人から、右土地上に同人らが所有する本件建物を賃借しているにすぎない、というのである。されば、上告人らは、右土地の取得時効の完成によつて直接利益を受ける者ではないから、右土地の所有権の取得時効を援用することはできない。また、第三者異議に関する所論は、判決の結果に影響を及ぼすものではない。

されば、論旨は、採用できない。

同三について。

論旨は、違憲をいうが、その実質は単なる法令違反の主張にすぎず、しかも、判決の結果に影響を及ぼすものではないから、採用できない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 飯村義美 裁判官 田中二郎 裁判官 下村三郎 裁判官 松本正雄 裁判官 関根小郷)

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